最後のソメイヨシノも終わりを迎え、いまはボタン桜(八重桜)が盛りを迎えつつある。 吹き寄せられた散り桜の畳はちょっとどぎついけれど、やっぱり風情を感じる。 北条時宗公お手植えと伝えられている珍しい桜「御車返し(みくるまがえし)」。 何が珍しい…
天(そら)に敷き詰められたる星辰(ほし)を褥(しとね)に乙女は熟睡(うまゐ)す。 焚(た)き籠めた沈香(ぢんかう)の香色(かおり)に包まれて、顔容(かんばせ)穏やかに夢を夢みん。 傍らに佇立(たたず)むか黒(ぐろ)き像(かげ)のひとつ。 眼眸…
行く春や鳥啼(な)き魚(うお)の目は泪(なみだ)深秋だというのに、突然芭蕉の春の句が浮かんだのだ。何故だろうと考えたら、そうか~兜煮が食いたいんだな~と気づいた。そんなわけで、今日の男の手料理の時間は「兜煮」のレシピです。 ゼラチン質の目ん…
夜鶯(ナイチンゲール)の旋律(しらべ)が聞こゆる頃ほひ、射干玉(ぬばたま)の闇は靄気(もや)を払つて泊夫藍(サフラン)色の天(そら)が静かに垂帳(とばり)を開く。昧爽(よあけ)とともに野は薔薇色に輝き、巴旦杏(アーモンド)だの風信子(ヒア…
小学生時代のボクの夢は、忍者になることだった。 当時の漫画雑誌には、必ず「忍者になる方法」といったような修行法が載っていた。 まず、屋根の上までぱっと飛び上がる跳躍術の訓練は、大麻を植えて毎朝飛び越えるようにすること。 麻は成長が早いので、跳…
ちょっとインチキ加減のタイトルだが、半分は正しいのでご勘弁。 「檸檬」の初版は、梶井基次郎存命中の昭和6年(1931年)5月、武蔵野書院より刊行された。 500部刊行。 翌昭和7年(32年)3月永眠。 そして昭和8年12月1日、「梶井基次郎創…
辻潤は澁澤龍彦と並んで、ボクの人間形成に大きな影響を与えた人なので、2008年の記事を一部書き直して再掲載する。 2人とも思想や政治が大嫌いで、主義主張なるものを田舎者の意匠として軽蔑した。 今日、ボクがネトウヨなる人種を軽蔑し、嫌っている…
梅雨が明けた。 食料品の買出しに街まで出かけたついでに、いつもの店で餃子を肴にビールをあける。 昼酒は効く。 13時に帰ったら、バタンキューで4時間も昼寝をしたらしい。 目覚めたとき、昼寝だったとは気づかす、5時というのはちょっと朝が早いけど…
「妖婦」表紙と裏表紙。 目次。 奥付。昭和22年2月25日発行。定価40円。風雪社刊。 昭和22年1月に亡くった織田作の死後出版。 戦前から戦後にかけて、単行本未収録の作品を収めた短篇集。 このうち「漂流者」(昭和17年)が最も古く、「妖婦」(…
日本本土が最初に空襲を受けたのが昭和19年11月24日。 もっとも、九州のほうは、6月に、成都(三国志ファンならば、蜀の都とすぐ分かるはず)から飛び立ったB29が福岡の八幡製鉄所を爆撃している。 成都からの爆撃は北九州が限界だったので、グア…
お昼にTVで「冒険者たち」をやっていたので、またまた観てしまった。 この映画が上映されたのが中学時代で、すっかり感激したボクは大人になったらジョアンナ・シムカスと結婚するんだ~と固く誓ったのだった。 が、シドニー・ポワチエというライヴァルが現…
三島書房刊。昭和21年9月30日発行。定価15円。 装丁:鍋井克之 目次。 六白金星。 髪。 表彰。 道なき道。 訪問客。 神経。 戦中から戦後にかけて執筆された六篇の短篇集。 織田作は、大阪と切り離しては語れない作家だと言われる。 戦中から戦後すぐ…
今日は超難関といわれる男の手料理に挑戦したいと思います。 どくらい難しいかといえば、国家公務員上級(一種)試験に合格するのと同じくらいに難しいのです。 東大文Ⅰに合格するのでさえ難しいのに、その文Ⅰ卒業生の数%しか合格できない超エリート試験で…
テーマ: 音楽レビュー ディマシュ・クダイベルゲンに関しては、解説なんかもう何の必要もないはずだ。 この人が世界に登場したのは、中国の新人発掘TV番組に出場した17年1月のUチューブアップからだが、ボクが知ったのは同年の10月。 70年代半ばに音…
「ビミョウ」 意思決定の場面で、責任回避のために使われる若者言葉。 「微妙」が由来。 [用例] 女:あたし妊娠したみたい。責任とって結婚してくれるわよね。 男:ビミョウ~ 歌丸師匠:山田君~男の座布団、全部持って行きなさい~ 山田君:ビミョウ~ 山…
凌霄花(のうぜんかずら) 季節外れの萩の花。 夢野久作の主要な作品は文庫であらかた読めると思うが、全集でなければ読めない作品を紹介しよう。 調べたら、幸いなことに「青空文庫」で読めるからだ。 タイトルは「いなか、の、じけん」。 文壇デビュー初期…
奥さんが突然家出をしたりすると、男は焦りますよね。 いったい、この先どうやって飯を食っていけばいいんだ~。料理なんかしたことないんだぞ~、って。 飢え死にするしかないのか~! そんな危機に晒された男性のために、ボクが男でも作れる簡単で栄養満点…
ミック・ジャガーは繊細な男だ。 繊細な神経が災いして神経衰弱という持病があった。 「19回目の神経衰弱」になったときだ。 https://youtu.be/5SQ4bJmdZo4 これじゃイカンと、親友のキースに相談した。 キースはアドヴァイスする。 「バイクにまたがって…
文士という人種は、誰もが惚れ惚れするようないい男ばかりだ。 銀座にあった文壇酒場「ルパン」で撮られた織田作之助の人懐っこい笑顔。 理路整然と散らかった書斎の坂口安吾。 こんな写真を中高生の多感な思春期に見たら、憧れないほうがおかしい。 まして…
熊さん:ご隠居さん、政治ってなんですかねえ~? ご隠居さん:お上の仕事だよ。 熊さん:じゃあ~色っぺぇ~んですね。 ご隠居さん:まあ~色々あるからねえ~ 熊さん:合点でさあ~。夕べね。そこの小料理屋呑兵衛にツケを払いに行ったら、女将(おかみ)…
監督:セルジオ・レオーネ 出演:クリント・イーストウッド ジャン・マリア・ボロンテ 音楽:エンニオ・モリコーネ イタリア映画。64年公開。 日本公開:65年12月。 [あらすじ] 2人の悪徳親分が支配する町に流れ者がやって来る。 親分の名は、 木綿豆…
その日、ジョンは下痢気味だった。 10分おきにトイレに駆け込んでいた。 何も知らないヨウコが目覚めてトイレに入ろうとすると先客がいる。が、待てど暮らせど、ジョンは出てこない。 痺れを切らしたヨウコは「マダア~」と大きな声で催促した。 ジョンの…
監督:ロバート・クローズ 出演:ブルース・リー 製作・公開:1973年 香港・米国合作映画 「物語」 そもそも彼は3人兄弟の末っ子だった。 長男は1番目なので「青犬」(ブルーワン)と名づけられた。 次男は2番目なので「青果」(フルーツゥ)と言い、…
ハードボイルドは男の美学だ。 俺はボルサリーノを目深にかぶり、トレンチコートの襟を立てて、夜の街をさ迷っていた。 レースのカーテン越しに明かりが漏れている。 浮き出たカーテン模様はキティちゃんだ。 ゴルゴ13愛用のシンボルマークだ。 ハードボイ…
落語に「三題噺」というのがある。 お客さんから、無関係なお題を3個頂戴して、その場でお笑いストーリーを作り上げる瞬間芸だ。 真打でも下手な人がいる。 前のブログで、ボクもお題を頂戴してその場で三題噺を作る企画をやったことがある。 ブロ友の Mymb…
本日は駄洒落を使った料理を勉強したいと思います。 講師 は~鳥(バード)大学の Dr. Showhanng です。 Dr. Showhanng:ミナサ~ン、コンバンハ。 お料理には新鮮な材料が必要ですね~ 本日、収穫したばかりのナスとキュウリを使いましょう。 ここで、看護…
アントニオ猪木とジャイアント馬場は、それぞれ団体を率いていたので、直接対決する機会はなかった。 誰もがそのことを知っている。 が、ボクが手に入れたシークレット情報によると、1度だけ、ノーTV、ノー観客で試合をしていたのだ。 試合はプロレスのメ…
矢野目源一と言う人は、ボクは牧神社の「ヴァテック」(74年)で初めて知ったのだが、読了後、ぶらりと立ち寄った古本屋で見つけたのが写真の本。 表紙。 扉。 奥付。 大正13年とあるのが目を引く。 矢野目源一の名前とアンリ・ド・レニエの名前で、迷わ…
63年のことだ。 この年早々に発表した Please Please Me が爆発的に売れ、たちまちビートルマニアが誕生してビートルズの4人は全英中のアイドルスターとなった。 ベーカー街221Bに緊急連絡が入ったのはそんな騒動が始まってすぐの頃だ。 連絡してきた…
明日は金曜日だ。 日本フライ協会では毎週金曜日を「フライデー」と名付けて、フライの半額セールを行っている。 デパ地下やスーパーなどの食料品売り場では、買い物客が殺到して危険なので、店員がフライを投げ、お客はそれをキャッチするのが当たり前の光…